今日のお題
①島崎英純氏の論考
週末のジェフ戦を迎える前に、今のレッズに何が必要か考えていた。そうしたら、島崎英純氏が『浦和レッズマガジン』10月号の「浦和論究 優先すべき事項を見失うな」という論考において、現在までのレッズの戦術上の問題点を的確に論じている。ここでは島崎氏の論考を確認して、次節ジェフ戦へのレッズの戦術の課題を確認しておこうと思う。
島崎氏の論考で指摘されているレッズの問題点をまとめると、
第一に、時間の経過に伴う各選手のチーム戦術への適応能力が分かれてきたこと。つまり、若手選手が戦術に適応しコンビネーション・サッカーを実践していること。
第二に、所属選手の体力面のバラツキである。つまり、フィンケ監督により実施された体力測定の結果において、主力選手たちの体力測定値が基準値を下回っていたらしい。
第一・二の諸点に関して、島崎氏は年齢に関わらず経験と実績がある選手で、プレーの役割分担が明確であればコンビネーション・サッカーへの適応は可能であるとしてきしている。島崎氏曰く、「つまり、適切になされるべきは年齢や経験によるすみ分けではなく、あくまでも監督の戦術、スタイルにアジャスト(適応)できる選手をみきわめることである」と指摘している。
第三に、チーム・プレーに必要なことは、ショート・パスを組み立ててゲームを展開する以上は、個々の選手がボールを受ける際に敵選手からのマークを外してフリーになるような動き出しが大前提になるという。こうしたプレーの要が山田直輝であるという。彼の攻守にわたる縦横無尽のプレーにより各選手のポジションも必然的にシフトし、他の選手の運動量増加に繋がったと言う。しかし、山田直の怪我による欠場以降、彼のプレーの代役を果たす選手がいないと指摘している。
第四に、守備力に関しては、攻撃力重視の反面、守備力の徹底も重要であると指摘している。攻撃で前線に人数が移動した後、守備への切り替え後も敵の攻撃を遅らせたり、迅速にボールを奪い返すプレーが必要であると言う。守備面での献身や努力が必要であるという。
第五に、こうしたチーム戦術の約束事に関して、連敗中のチームは徹底されていなかったという。島崎氏は、「選手がそのスタイルを実践し続けることは大前提」と指摘している。さらに、チームの能力に変化がない場合は、フィンケ監督による選手構成の再考が必要であると言う。
第六に、他のチーム戦術として、選手の個性に戦術を適応させることも可能だが、選手層が高齢化していることからその効果が短期的であり、長期的なチーム成績への貢献は難しいと言う。島崎氏は、最後に「年齢、経験にとらわれない、ベストな選択を。各世代の融合、共通理解の徹底―。今のチームには適材適所の見極め、そして取捨選択が求められている」と指摘している。
私見
「島崎氏の指摘は、レッズの連敗中に構成されものであるが、選手の起用、選手層のフィジカル面の問題、戦術理解などの問題点を指摘している。問題点が、各項目ごとに的確に指摘されているが、フィンケ監督の戦術を根本的に否定しているものはなく、これからの闘いで十分に修正、実践可能な見解ではないだろうか。レッズの新たなサッカー、スタイルは格言ではないが、「浦和は一日にしてならず」というべき目標ではないだろうか。むしろ、チームの闘いの過程を見守り、楽しむべきだと思う。世の中、物事がそう簡単に上手く行く訳がない。去年と較べてみれば良いと思う。現状のレッズの闘いの軌跡、その過程の中に大切なものがあるのだと思うのだが。
島崎氏の見解で、ジェフ戦で重要に成ってくると思われる点は、山田直の先発復帰とこれに伴うスタメンと戦術の変化、不安定な守備力の改善と強化ではないだろうか。
最後に島崎氏には申し訳ないが、「適応」の英語はadjustではなくadaptである。アジャストだと単なる調節、適合という意味合いである。適応は能動的、自発的な意味合いが強いと思うし、欧米の人文科学の論文では通常はadaptが使用されていると思う。adの接頭語の語源は共通するが、それぞれの単語の意味合いは別である。この点は、島崎氏の誤用であると思う」
今日のお薦め
White Lion「Where do we run」『Fight to survive』
‘85年の発売だけど、本当に良いアルバム。Gのヴィト・ブラッターのコンポーザーの力量とギター・リフ構成能力は天下一品だと思う。オリジナルで復活しないかな。
The Beatles「Let it be」『1967-1970』
今のレッズを思って。
Paul Desmond 「When Joanna loved me」『The best of the complete Paul Desmond』

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